固体では「伝導」によって熱が移動することを示しました。
では、水や空気などの流体(液体や気体のこと)では、熱はどのように移動するのでしょうか。
先に、「固体は分子同士の結合が強いために移動ができない」と述べました。
しかし、流体では、分子が自由に動きます。
このように分子の移動に伴って起こる熱移動を対流といいます。
流体は温度が高くなると膨張して軽くなるため上昇し、温度が低くなると下降します。
床暖房でも部屋の上部まで空気が暖かくなるのは、床面で温められた空気が対流によって
上昇するからです。
このような流体の温度差によって起こる対流を自然対流と呼びます。
それに対して、自然風や送風機などの外部からの動力によって起こる対流を強制対流と呼びます。
固体表面と、それに接する流体間で起きる熱移動を「熱伝達」といいます。
薪ストーブを例に考えてみると、高温のストーブに触れた空気は、ストーブ表面の
熱エネルギーを受けとって上昇していきます。そして次にその場所にやってきた
低温の空気がストーブ表面から熱エネルギーを受け取り上昇し、また次に低温の空気が
やってきて......を繰り返します。
また、まったく逆のプロセスで、「流体→固体」という熱の移動も起こります。
暖房している室内の空気が壁に伝えられていくというイメージを描いてください。
空気がもっている熱エネルギーが壁に伝えられ、低温になった空気は下降していきます。
それにつれて暖かい空気が上からやってきます。つまり、「熱の移動→対流」が繰り返される
ことによって、継続的に「固体→流体」もしくは「流体→固体」という熱の移動が起きるわけです。
もうひとつ、「固体⇔流体」で熱が移動するプロセスとして「放射」もあります。
固体分子から発せられた電磁波が流体中の分子に吸収され、そこで熱に変わるという流れです。
また、やはりこのまったく逆のプロセス(流体分子→固体分子)んいよっても熱が移動します。
熱伝達は「対流」「放射」の2つのプロセスによって固体と流体間に熱が移動する現象のことです。
「伝達」は「伝導」と文字が似ていてややこしいですが、この違いをよく理解しておきたいものです。
「固体表面と流体間の温度差が1℃の時に表面積1㎡、
1秒間あたりに流れる熱量」を熱伝達率といいます。
通常は「総合熱伝達率」として対流と放射を合算して扱いますが、区別する場合は
「対流熱伝達率」 「放射熱伝達率」と呼びます。
普段目には見えませんが、壁面付近の空気というのは、その粘性により壁に付着したような
格好で静止しています。この静止した空気の層を温度境界層と呼び、壁面と空気の熱のやり取りはここで行われます。
この層を出ると空気は対流しており、その温度は一定として扱います。
温度境界層は風が強いと、静止空気が飛ばされて薄くなりますし、付着の具合は壁表面の平滑さによって異なります。
このようにさまざまな要因の影響を受けるため、熱伝達による熱の移動量を厳密に計算するのは非常に困難です。
そこで設計では、それらを考慮して一定の精度をもたせた、熱伝達率の実用値が用いられます。
たとえば垂直壁面の場合、室内側は9W/㎡K、屋外側は23W/㎡Kという実用値が一般的に用いられます。
室内と屋外とで異なるのは、室内側がほぼ無風で環境が安定しているのに対し、屋外側はさまざまな環境変化に
さらされるためです。
熱伝達率の逆数は熱伝達抵抗(表面熱抵抗)といい、
熱損失計算の際に外皮表面空気の熱抵抗値として勘案します。
この熱伝達抵抗は、実務上よく使う数値です。
適切な室内温度環境を考えるとき、対流に関わる問題は
「上下温度差」と「コールドドラフト:不快な冷感を与える気流(ダウンドラフト)」です。
どちらも快適感を損なう現象として、設計者は注意しなければなりません。
上下温度差をつくる主因になるのは、「断熱性・気密性の低さ」です。
断熱性が低いことによって、外壁や開口部の室内面の空気が冷やされ、
それが部屋の下に下りて溜まります。床面が低温になることはその現象の
直接的な原因になります。そうして部屋の下に「冷たい空気層」が生まれてしまうと、
上のほうにある暖房で暖められた空気が分離されてしまいます。温風式の暖房設備を使えば、
それが助長され、さらに上部に設置されることが多いエアコンでは、その現象がますます顕著になります。
とくに断熱性が低い開口部や換気口(吸気口や排気口)では、そこから降りてくるコールドドラフトが体に感じる
ほどになり、居住者に強い不快感を与えることになるので注意が必要です。
「開口部の断熱性を高める」
「換気口の位置を考える」
ということを基本に、開口部では内障子やカーテンの工夫を検討したほうがよいでしょう。
No.006
No.005
No.004
No.003
No.002
No.012
No.011
No.010
No.009
No.008
No.013
No.012
No.011
No.010
No.009
No.011
No.010
No.009
No.008
No.007
情報更新日
2019
12.09
☆ 残り、3枠 ☆ ☆ 会場は 源工務店店舗 (自社ビル2階)です ☆ ...…
情報更新日
2019
12.09
☆ 残り、3枠 ☆ ☆ 会場は 源工務店店舗 (自社ビル2階)です ☆ ...…
情報更新日
2019
12.03
☆ 残り、3枠 ☆ ☆ 会場は 源工務店店舗 (自社ビル2階)です ☆ ...…
DATE:2017.10.19
「延焼のおそれのある部分」について 建築基準法(法2条6号)…
DATE:2017.09.28
「防火設備」について 防火設備とは、防火戸、ドレンチャー当で…
DATE:2017.09.12
準耐火建築物について、建築基準法では主要構造部が下記の通りの…
DATE:2019.12.05
2019.12.05(木) ねもとです。 この度、R+h…
DATE:2019.12.04
2019.12.04(水) ねもとです。 さて、めでたく…
DATE:2019.12.03
2019.12.03(火) ねもとです。 「建物ボリュー…